- 投稿 2016/11/29
- アクアリウムでのろ過について
好気ろ過とは何かとか、目的などを具体的に書いています。
好気ろ過はアクアリウムでの、生物ろ過の基本中の基本と言ってもいいでしょう。
◎生物ろ過による好気ろ過とはどんなものか
飼育魚などを飼育する事で増える有機物(残り餌・飼育魚の糞・水草の切れ端など)を 比較的酸素を好む硝化バクテリア(しょうかばくてりあ)の働きにより、毒性のあるアンモニアに変化させ、アンモニアを毒性のある亜硝酸塩に変化させ、亜硝酸塩を比較的毒性の低い硝酸塩に変化させる事をいいます。
水槽の立ち上げ初期は、アンモニアや亜硝酸塩が、異常に増えますので、あなたの飼育目的の魚を入れないようにします。
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アンモニアや亜硝酸塩がおさまってから、あなたが飼いたい飼育魚を入れます。
その時、一度に沢山の飼育魚を入れたり大量に餌を与えると、またアンモニアや亜硝酸塩が、異常に増える事になりますので、増やす場合は徐々に増やしていくようにしましょう。
目的の飼育魚を入れ終えたら、飼育魚や餌を急に増やしたり、有機物を溜め込んだ底砂を触りそのままにしたりすると、また急激に硝化バクテリアが増えアンモニアや亜硝酸塩が異常に増える可能性が上がります。
急激に硝化バクテリアが増えるような事や、ろ過材を水道水で洗うなどのバクテリアがダメージを受るような事をすると、水槽立ち上げ初期の状態に近くなりますので、このような事をしなければ、アンモニアや亜硝酸塩が急激に増える事は、ほとんどありません。
少量ずつの有機物が徐々に、硝化バクテリアにより硝化される事で好気ろ過が成り立ち、硝酸塩を減らすために、底砂の汚れを吸い出す水換えや換水する事で、飼育魚達が棲める水になるのです。
※ろ過能力や水槽の大きさ・水温などの環境により、飼育できる 魚の量=数x大きさ や糞・餌など有機物の処理能力や処理の限界や水換え頻度等の条件によります。
よくある質問では、「○○リットルの水槽にどれ位の魚が飼えますか」というのがありますが、上記のように様々な環境により、一概に言う事ができません。
熱帯魚の適温(25℃位)で増えた硝化バクテリアは、水温が高くなると(目安は、28℃位~注意・30℃以上は危険)、ろ過バクテリアの働きが、著しく低下する可能性が高まります。
ですがバクテリアの種類は膨大な数がありますので、時間が経てばその環境に合ったバクテリアが増えていきますが、環境や水槽がある部屋の水温にあったバクテリアの種類により、どれ位時間(時間というよりも、数週間~数ヶ月)が掛かるかは変わるでしょう。
だからといって、最初から高めの水温でバクテリアを増やそうと思わないでください。
高めの水温で飼育していると、飼育魚によりますが、体力が落ちていまい夏の暑さが加わると、飼育魚達は命の危険にさらされ、☆になる可能性は高くなります。
飼育魚により適温がありますので、その魚に合った水温内で飼育するようにしましょう。
私の場合45cm水槽~60cmワイド水槽は、ろ過能力が高い、エアーリフト式底面ろ過を使用していて、ヒーターは通常24℃程度に設定しています。
バクテリアの力を発揮させるためには、ろ過器が必要であり、ろ過材が必要になります。
好気ろ過でのエアーリフト式底面ろ過では、水槽の大きさにもよりますが、中目~細目の底砂で5~6cm位の厚さが適しています。
(エアーリフト式底面ろ過、左のスポンジフィルターは物理ろ過)
好気ろ過を理解していないと、あなたの大事な飼育魚達が☆になる事になり、心の癒しどころか逆に心に痛手を負う事があります。
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◎好気ろ過の目的
好気ろ過が行なわれなかったり十分ではない場合、通常の飼育下では有機物は腐敗してしまいます。
そこで、人工的な好気ろ過(硝化作用)が必要になるのです。
有機物→アンモニア→亜硝酸塩→硝酸塩と変化させるのが目的で、これを硝化作用といい、ここまで来ると、水ができたと言います。
水ができるとは、水槽が立ち上がったとも言いますが、具体的には、アンモニアや亜硝酸塩が検出されなくなり、硝酸塩が増え始めた時点をいいます。
比較的毒性の低い硝酸塩は、そのまま魚達を飼っていればどんどん溜まっていきます。
飼育魚が体調を崩したり、苔の発生の原因となりますので、水換え(底砂の汚れを吸い出しながら、水を交換する)や、換水(底砂を触らず、水だけを交換する)を行なう事により、硝酸塩を減らします。
これがアクアリウムでいう、好気ろ過です。
但し、水槽の水が多く飼育魚や餌の量が少なく、有機物がごく少量であり、有機物や硝酸塩を分解し吸収する能力の高い水草が茂っているような環境であるか、度々水換えや換水すれば、ろ過器による生物ろ過が必要ない場合もあります。
下記写真の屋外60cmワイド水槽は、メダカ数匹とミナミヌマエビ十数匹とプラナリア数十匹とスネール数匹に、メダカの餌とミナミヌマエビ用にザリガニの餌やたまに熱帯魚用顆粒状の餌を少量ですので、有機物が少ない。
水草が活発でない寒い時期は、生物もあまり食べないので、たまに餌を与える程度。
生物の主体はメダカで、ミナミヌマエビが残り餌やザリガニの餌の分解や水草の苔掃除、プラナリアは☆になった生体や細かい有機物の分解、スネールは水槽の苔取りや残り餌の分解、水草は有機物や硝酸塩等を吸収の目的で入れていますが、ほとんど苔は生えませんでした。
ポンプによる水流は無くても、屋外ですので水温の変化による対流があると思うので、底砂が若干の通性嫌気性になっているかもしれません。
底砂は、水草水槽で使用していたソイルを流用しています。
これで硝酸塩も出ず、水槽内完全自然サイクル水槽(生態系完結水槽)になりました。
水草は、屋外で冬でも大丈夫そうな、アオウキクサ、睡蓮、マツモ、アナカリス、ウイローモス、アメリカン・スプライト等を入れている。
(屋外ろ過器なし60cmワイド水槽、飼育魚がメダカ数匹に水草が沢山。足し水だけで10年以上維持、硝酸塩未検出)
◎硝化バクテリアは、あなたの部屋にもいます
新規に水槽を立ち上げる時、わざわざ市販の硝化バクテリアを購入しなくても、硝化バクテリアは大抵の場所に住んでいます。
急いで水槽を立ち上げる場合は、市販の硝化バクテリアを使用するのもありです。
◎現在稼動中の水槽がある場合の水槽立ち上げ
あなたの部屋のバクテリアでは、立ち上がるまで時間を必要としますので、飼育水槽を増やしたい場合、別に飼育中の水槽があれば、その水槽のろ過材や水を分け入れる事で、バクテリアが立ち上げ初期から多くいるので早く立ち上がります。
◎新規水槽を立ち上げる場合
パイロットフィッシュ(安くて丈夫な魚)に餌を与え飼育する事や、昔は死んだ魚を入れておくという方法もありましたが、死んだ魚の場合病死の可能性もあるので、なるべくしない方がよい。
これは、餌やフンなどの有機物を増やし、硝化バクテリアを増殖させるために行なう。
上記のようなものを入れ、パイロットフィッシュの場合生きているので、アンモニアや亜硝酸塩の毒に侵されないように、水換えや換水をしながら水ができるのを待つ事になります。
立ち上げに要する日数は、さまざまな環境がありますので、一概に言えませんが、目安として15日~30日程度必要になります。
市販のバクテリアもありますが、様々な製品がありますので、いいものもあればほとんど無意味なものまで存在します。
環境による所もあり、どれがいいとか、私では分かりません。
・パイロットフィッシュとは、安くて丈夫な魚に餌を与え飼育する事で硝化作用の立ち上げを手伝ってもらう魚です。
但し、パイロットフィッシュは、アンモニアや亜硝酸塩などの毒が発生する水槽の中に入れられるのですから、命の危険を伴います。
パイロットフィッシュを入れないで水槽を立ち上げる方法については、下記リンクをご覧ください。
パイロットフィッシュなしで水槽を立ち上げる方法Vol.1セット編
パイロットフィッシュなしで水槽立ち上げVol.3生体導入後経過
通性嫌気性ろ過について興味がある方は、詳しく書いていますので、カテゴリー(通性嫌気性ろ過について)下記リンクからご覧ください。
通性嫌気性ろ過について
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